人工内耳の選択をどうするか

ちょっと話が前後してますが、人工内耳の手術を受けるにあたって、メーカーを選択しなければならないので、前エントリ ではメーカーの概要でしたが、このエントリでは、私が人工内耳を選択するにあたっての思考の経過を記していきます。

artifical-ear.hatenablog.jp

性能面に求めるもの

まあ、健聴者並に聞こえるようになること、なんですけどね。ただ、私の場合は、オージオグラムを見る限りでは、低音が比較的残っているので、そこは活用できるのであれば活用したいと思っています。

f:id:masaki_ci:20170807175923j:plain 現在のオージオグラム

人工内耳そのものの性能について

人工内耳の性能という場合、インプラントの性能とサウンドプロセッサの性能という2つの側面で検討する必要があります。しかし、おそらく補聴器ならばこの点が一番気になりますし、またメーカーによっても特徴が出てくるところだろうと思うんですが、人工内耳の場合は、音声の入り方(性能)はどれを選択してもほとんど変わらないようです。

まあ、手術して蝸牛内部に電極を入れなければならないという時点で比較検討する余地がまったくないので、本当に同一人物で比較したらどうなんだろうというのは疑問としてありますけどね。

[結論]人工内耳(インプラント+サウンドプロセッサ)自体の性能は気にする必要はないので、どちらでも問題はなさそうです

残存聴力を残して手術できるか否か

これは、EAS(残存聴力活用型人工内耳)ではなくて、通常の人工内耳の手術だけど電極の挿入を工夫することで残存聴力を温存するというものです。

つまるところインプラントの低侵襲性と医師の技術が問題になりそうなんですが、私の担当医師によれば、これを希望するならばメドエルの方が有利であると断言していました。コクレアでは無理とまでは言ってませんが、電極の柔らかさなどを比較するとメドエルのみが選択肢になるという状況のようです。

残存聴力については、手術の経過にもよるので残っていてくれればもうけもんという程度の話だとは思うんですが、それでも鼓膜を経由して音が聞こえるのであれば、音楽などをまた楽しめるのではないかなあという思いもあって、色々と悩ましいところではあります。

また、補聴器と併用可能とはいえ、聴力が手術前よりも落ちるのは確実とのことでもあり、基本的には人工内耳をメインに使用していくことになるはずなので、残存聴力に期待をかけすぎるのはどうかという考えもありえます。

[結論]残存聴力の温存に期待したいのであれば、メドエルを選ぶことになりそうです

性能以外の機能面に求めるもの

スマホなどの外部機器の音を人工内耳と補聴器で直接聞けること

スマホなどの外部機器」と書いてますが、要は電話への応対時に、ワイヤレスで直接人工内耳に音が入ってくると非常に聞きやすいということでして、現在使用中のMade for iPhone補聴器(ベルトーン製)で実感しているので、人工内耳でもできないかなということです。

現時点では、コクレアのアクセサリは1台でGNリサウンドの補聴器と人工内耳両方にワイヤレスでスマホの音を流してくれるシステムがあるので、この場合の選択肢は人工内耳はコクレア、補聴器はGNリサウンドのみということになりそうです。メドエルの場合は、アクセサリと人工内耳間の音のやりとりをテレコイルで対応しているので、そこがちょっと残念なところですね。

もっとも、電話については、人工内耳で聞くのはかなり大変そうなので、補聴器だけ使用することを考えるならば、いわゆるMade for iPhoneな補聴器を選べばよいので、そうすると人工内耳の方では考えなくともよくなりますが、将来的には両耳に人工内耳ということになる可能性が高いので、ここは考えどころでもあります。

[結論]どのメーカーも手法の違いはあれど、ワイヤレスオプションを出しているため、首にかけるタイプ+テレコイル(メドエル)と手で持つタイプ+無線(コクレア)のどちらが好みかで決めれば良さそうではあります。

ただし、個人的には首にかける形式は少々違和感があるため、この面でいうならばコクレアの方が良いと思うし、こんな記事が出ていることから、将来的なアップグレードによる性能向上もコクレアの方が見込みがありそう。

もっともSTの先生によれば、ワイヤレスアクセサリは、持ち歩くのが面倒で結果として使用していない人の割合も高いという話を聞いていますし、電話はテレコイルで何とかなっている人も多いということなので、音楽を聴く場合は別として、電話に関しては、どちらでも問題ないのかもしれません。

いずれにしても、現時点では一長一短なので、将来に期待するしかなさそうです。5年ぐらいあれば何とかなるかなあ。

防水機能がある程度あること

これは人工内耳を着けたまま海やプールへ行きたいということではなくて、単に汗っかきなので、防水機能があるとありがたいということですね。両メーカーを比較するとこんな感じになります。

コクレア
  • IP57の防水性能+ナノコーティング撥水加工による防汚性(Necleus 6サウンドプロセッサ)
  • Aqua+という防水用のカバーがある(5回まで使用可)。
    • また使い捨て用のアクア・アクセサリというのもある(5枚セット)
メドエル
  • IP54の防滴性能
    • SONNETのみ。RONDOにはない。
  • ウォーターウェアという防水用のアクセサリがある(3回まで使用可)。

[結論]コクレアの方が生活防水の性能が高そうではあるものの、どちらのメーカーでもさほどの差異はなさそうなので、条件としてはそれほど気にする必要はない。ただし、アクセサリの価格次第ではコスト面の問題が出てくる可能性はありそうです。

運動する際に外れないこと

私が現在している運動は、主にランニングとバレーボールですが、ランニングの際はまず補聴器すら着けずにやることが多いので、バレーボールをする際に人工内耳を着けたままやることは可能かどうかという問題ですね。

対衝撃性というような項目はないので、先生に確認したところ、頭部に衝撃を受けないように注意しつつ、ヘッドバンドなどで頭部を保護することで人工内耳をしたままスポーツをすることは可能とのことなので、そこは工夫次第ということになりそうです。

[結論]頭部への衝撃と人工内耳の保護を意識していれば、人工内耳を装着して運動することは可能ですが、この場合は、むしろ汗に注意した方が良さそうです。

メーカー選択に関する結論

コクレアとメドエルは一長一短という感じで、人工内耳自体の性能面はともかく、インプラントの低侵襲性、ワイヤレス機能といったあたりにかなりの違いがあるようです。

自分自身の優先順位は、残存聴力をある程度活用できれば、場面に応じて補聴器を引き続き使用しながら人工内耳のメリットを享受したいという点が一番なので、メドエルを選択して、ワイヤレス機能などは将来に期待することにしようと思います。