検査とユニット交換
実は前回の記事は、その前日に久々に病院に行って検査をしたのがきっかけだったんですが、その内容や結果について全く書いていなかったので改めて。
検査とその結果
今回は左耳が手術してから1年ということだったので、左耳に装着した状態と両耳装着した状態とでやりました。
検査内容
毎度おなじみのやつです。ちなみに、当然といえば当然ですが単語検査と文章検査は左耳のみの時と両耳の時とで内容は変わっています。
- 語音識別検査(1音)
- 語音識別検査(2音)
- 単語検査(静寂下・騒音下)
- 文章検査(静寂下・騒音下)
結果
検査内容 | 左耳 | 両耳 |
---|---|---|
語音識別検査(1音) | 75% | 85% |
語音識別検査(2音) | 70% | 75% |
単語検査(静寂下) | 80% | 85% |
単語検査(騒音下) | 70% | 75% |
文章検査(静寂下) | 100% | 100% |
文章検査(騒音下) | 80% | 85% |
数値はおおよそです。てか正確な数字は教えてもらってません。言われたのは、文章検査は大体完璧で、騒音下でも問題ないレベルで聞き取れているということと、片耳と両耳とでそこまで大きな違いはないけれども、しかしやはり両耳装着の方が全体と的な成績がよいということでした。
それから、検査ごとの数値の変化もあまりないということで、こちらも人によっては検査の数値が下がったりすることもあるようですね。この場合、機器の調整の問題出ればオージオグラムに変化が出るはずなので、そちらで調整してもう一回検査するという流れになるようです。私はオージオグラムの数値も安定して全帯域で30dbから40dbの間に収まっているということで、こちらも問題ないようです。
ユニット交換
この検査の数日前からだったでしょうか。充電池の着脱時に下部のカバーを外す際に、左耳のプロセッサだけのマイクのカバーが外れるような感じになりました。カバーが壊れたのかと思ってカバーを交換しても変わらず、よくよく見てみたら、カバーの下の透明部分も一緒に外れそうになってました。
こりゃ汗かいて水が入ったら間違いなく故障するな、ってことで検査当日にSTさんに相談したところ、すぐにメドエルの方と連絡を取っていただきまして、保証期間なので交換するということになりました。交換には1週間ほどかかるということで、到着の連絡が昨日来たので、本日の午前中に受けとってきました。
今回はユニット交換ということなので、本当に本体のみの交換でした。そして故障したものはメドエルに着払いで送り返すんですが、これは送付先が記載された伝票をもらって自分でやるということになってます。
一応動産保険にも入っているので、壊れても問題はないんですが、保証期間内なら無償交換ということなら保証期間が終わってから動産保険に入ってもよかったのかもなあとちょっと思いました。ともあれ、シリアル番号が変わったので保険屋さんにも連絡しないとね。
両耳人工内耳にして1年経ちました
気がついたら年が明けてもう3ヵ月経っています。
前回の記事が11月ですから、もう4ヵ月前になるんですね。そして、両耳人工内耳になって1年が経ちました。
この数ヶ月は本当に何かブログのネタになるようなことがあまりなくて、両耳人工内耳という生活に私自身が慣れてきている感じがしています。何より大きいのは、聞こえなかったり聞き取れなかったりして落ち込むというシチュエーションがずいぶんと減ったのでストレスを感じなくなったことですね。
会議などでも、今現在議論になっている問題というのを大体は把握できていると思いますし、話を聞いてなくてアホなことを言ったりするということも減りましたね。もっとも、聞くのにある程度の集中力が必要なのは変わらないので、疲れていたり興味がなかったりすると途端に全然聞き取れなくなるのはこれまでと変わらないですが。
今回は、この4ヶ月間であったことをちょこちょことまとめてみます。
電池の件
前回の記事でえらく安く電池を購入したわけですが、電池の持ちとかはこれまで購入したものとほぼ変わらなかったです。私の場合だと1日12時間程度の使用で、3日程度(2日半かな)は持つという感じです。そして、大体の場合左側の方が右側よりも2,3時間早く電池がなくなります。
これは充電池使用の場合でも変わらないので、おそらくマッピングの出力の問題なんだろうと思いますが、全体的に持たないなあと感じることが多いので、この辺何とかして欲しいところではあります。
ちなみに、充電池と空気電池の使い分けは、平日仕事をするときは充電池を使用してまして、週末とか出張など朝から夜まで出かける場合には空気電池に入れ替えてます。それでも電池切れで何も聞こえなくなってしまうことはたまにあります。
FAX購入
固定電話が人工内耳にしてから困っているという話をしていたかと思いますが、その対策として、スマホで受けられるFAXというのを年末に購入してみました。
Wi-Fiさえあれば設定は簡単なのですが、結局この電話の受話器でもそこそこ聞き取ることができるので、スマホとの連携はあまり活用していません(苦笑)。
で、なんで固定電話だとうまく聞こえないのかを考えてみましたが、買替える前のFAX機器の受話器ってこんな形状でした。
こういう窪みがある形の受話器だと人工内耳のマイク部分にうまく当てることが出来ないけれども、スマホとか新しいFAX機器の受話器のようにフラットな形だと割と容易に当てることが可能なのかなと。
こうして、困っていた部分が徐々に解消されてきたので、あとは聞き取りの精度をもうちょっと上げられるといいんですがね。
電池購入
気がついたら前回の更新が半月前。
まあ毎日書くようなことはないので仕方がないんですが、なるべく週1ぐらいで更新したいもんです。
かといってそのためにネタを探すのもねえ。
そういや、ネタといえばこんなんありましたね。
来年1月発売ですか。このTLで誰が一番最初に使うようになりますかねえ(笑)。
— Masaki#両耳人工内耳 (@cochlear23) 2018年10月31日
Nucleus® 7 サウンドプロセッサ 薬事承認を取得https://t.co/FKQ1cQ6snP
ついにiPhoneと直接連携できる人工内耳が発売ですよ。iPhoneでの音楽鑑賞や電話の応対などはこれで劇的に変わると思いますし、人工内耳に直接音楽が入ることで、今までは音楽はちょっと無理って考えていた人でも少しは楽しめるようになるのではないかなあと個人的には期待しています。
といったところで自分がこれを装着することは完全にありえないんですけどね(苦笑)。
閑話休題。
人工内耳といえば電池の問題が常につきまとうわけです。
補聴器も同様ですが、補聴器用の空気電池は安く購入できるし、補聴器両耳装用でも片耳あたり2個で済むし、1回付けたら大体1週間ぐらいは持つしということでコスト面ではそこまで気にしなくても何とかなります。
しかしこれが人工内耳となると、人工内耳用の電池は高いし、片耳あたり2個、両耳装用なら4個必要で、1回付けたところで持つのはせいぜい3日だし、ということで空気電池だけで運用しようとするとコスト面の問題が出てくることになります。
もちろん、お住まいの市町村によっては電池代の助成があるでしょうし(私の居住市にはない)、充電池を使用することもできる(1日すら持たないので常に交換を意識しなければならない)わけですが、しかしこれらによっても人工内耳用の空気電池購入のコストから完全に解放されるわけではないので、電池購入をどうするかは避けては通れない問題ということになります。
私はメドエルの人工内耳ですが、オンラインショップでは空気電池は1パック468円で売ってます。
水銀フリー、ハイパワー、空気亜鉛電池 | メドエルダイレクト
同じ大きさの補聴器用空気電池は、10パックで1,876円です。1パック当たり187円!!
パワーワン 補聴器用 空気電池 PR44(p675) 6粒入り×10シートセット
- 出版社/メーカー: パワーワン
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
- この商品を含むブログを見る
これだけ違うとさすがにオンラインショップから購入というのはちょっと考えられなくて、色々と安く買えるところを検索していました。
人工内耳に付属していた空気電池(計4パック)がなくなって最初に購入したのが以下の製品。
人工内耳用 補聴器電池 アイセルテック PR44P(675CI)6粒入り5シートiCellTech 675 CI Plus
- ジャンル: 乾電池
- ショップ: ショップ村上 楽天市場店
- 価格: 1,944円
5パックで送料込みで2,124円で1パック当たりの金額は424円。ちょっとだけど安くなったのでまあ良いかと。
それも切れかかってきたので今回Amazonから20パックで3,293円のものを購入してみました。メーカーがHearClearというちょっと効いたこともないところなんで怪しいんですが、まあ現時点では在庫切れなのでリンクは貼れませんが、購入したのは、プレミアムバッテリーズのAmazonの出店でした。アメリカのマイアミにあるみたいです。
それにしても20パックで3,293円+送料1,000円ということで、合わせても1パック当たり214円です。前に購入したものの半額以下ですよ。届くかどうか不安でしたが、11月2日に注文して11月13日には到着しました。早くはないけど遅くもなくということでまあまあじゃないですかね。
ということで、次回購入可能かどうかも定かではないのが恐縮ですが、ネットを探索すればもっと安いところをみつけられるかもしれませんので、良いところがあったら教えてもらいたいですね。
電池持続時間などについては、次の更新の時にでも(笑)。
久々の更新
最近の人工内耳との日常
「あと1週間で手術して1年」と書いたのが2ヶ月前。
で、何事もなく1年を経過し、特にお祝いをすることもなく、そのまま日常を過ごしておりました。自分の中では人工内耳だからという特殊な感覚はもはや抜けてきていて、補聴器をしていた頃と同じような感覚に近くなっているので、
朝起きる→人工内耳を装着する→普通に過ごす(途中で充電池の交換あり)→風呂に入る前に人工内耳を外す
というのが完全にルーティンになっています。週末など家から出ないときは朝起きてからしばらくつけていないこともありますが、出かけるときは必ず装着していますし、騒音が大きいところでも外さないですね。
私の場合、補聴器で鼓膜を通じて音を聴いていた頃は、あまりにも大きな音になると耐えられなくなるので補聴器の騒音抑制機能に随分と助けられてきましたが、人工内耳で鼓膜を通さずに脳で直接音を聴く場合は、どんな大きな音でもそこまでしんどくならないので、非常に楽です。
ただ、大きな音ではなくて、今までは聞こえていなかった音が聞こえるようになってきたことで、そこにうるささを感じることはままありますね。その場合もリモコンでボリューム調整をすることなしにそのまま過ごしていると、それ以上イライラすることもないので慣れると気にならなくなっているようです。
診察とマッピング
診察
前回の診察の際に3ヶ月後ということで10月に診察の予約が入ってきたので行ってきたのが2週間前。
3分ほど耳の状態を診てもらいまして、特に問題はないということで次回の診察は半年後となりました。
先日質問に回答しましたけど、本当に手術後の耳周りの肉体的な痛みとかそういうのは全くないですし、耳鳴りも人工内耳を装着している間はほぼ気にならないですし、装着していないときの耳鳴りもそこまできつくないので、私に関して言えば運がよかったんだろうなと思います。
私の場合は手術直後を除けば痛みらしい痛みは現在に至るまでほとんどなかったです。手術箇所で若干気になる点といえば、たまに痒みを感じるのと長時間装着した後に皮膚の突っ張り感があることでしょうか。ただ困るほどではないですね。 #トリックオア答えて https://t.co/c9T0V3ng4Z
— Masaki#両耳人工内耳 (@cochlear23) 2018年10月26日
耳を見てもらってからの雑談の際に、ふと思いついて遺伝子検査のことを聞いてみました。話は聞いていたけどやっていなかったですと話したところ、希望するなら保険でできますよということだったので、次回の診察までにどうするか考えることにしました。
ま、私自身が遺伝でそうなったかどうかということにはそんなに興味はなくて、もし自分にそういう遺伝子があったら、娘(健聴)が将来子供を産むかもしれないことを考えて伝えておいた方が良いかなという程度の話なんですけどね。
マッピング
もはやマッピングはしていないんですけどね。リハビリって書いた方がいいのかもしれないですが、リハビリという何かをしているわけでもなく、検査があるときは検査をして、あとはSTの先生と雑談しているだけの時間はなんて言ったらいいんでしょうねえ(笑)。
で、9月に右耳が1年経ったということで検査をしました。
検査は午後からだったんですが、前日夜更かしをしていたため、当日は朝からずっと眠い状態でした。その状態で検査を受けたところ、自分でもはっきりわかるぐらいに聞き取れなかったのでちょっと笑ってしまいました。STの先生も首を傾げていましたが、流石に眠いのでとは言えなかったので、「今日は調子が悪いです」と言ってごまかしました。それでも検査結果は、前回と比較するとだいたい1割程度のダウンだったので、そこまで悪くはなかったんですけどね。
ちゃんと聞こうとするとやはりある程度の集中力を必要とするので、眠くなったり疲れたりすると途端に聞き取り能力が落ちてしまうのはなんとかしたいところではあります。
メンテナンスとか髪型とか
あと1週間弱で手術して1年になります。
まだ1年しか経ってないのかと思いますが、最近は聞こえに関しても安定しているので書くこともなくなりつつあります。もっとも、「安定している」=「完璧に聞こえる」ではないので、もう少しよく聞き取れるようになるための方法や、そのためのリハビリについて考える必要があるのは確かなんですけどね。
ただまあ、日常生活で困っている場面が減っているので、「まあいっか」で済ませちゃっている部分はありますねえ。
ということでネタはあまりないので、人工内耳のメンテナンスなどについてちょっと書いてみようと思います。
メンテナンス
今は朝起きてから夜風呂に入る前まで、1日辺り大体12時間から15時間ぐらい装着していますが、装着していない時間帯は、人工内耳購入の際に付属してきた乾燥機に入れています。
ドライスターUVっていう商品ですね。両耳装着なので2つありまして、それぞれ1つずつ入れてます。スペース的には1つの機器で両耳のサウンドプロセッサも入らなくはないんですが、磁石がくっついちゃうので何か悪影響でもあったら嫌だなと思いまして。
これは乾燥剤を必要としないタイプなので、乾燥力はどうなんだろうと思うところもありますが、少なくともこの1年で故障などはないのでまあまあうまく機能しているのかなと思います。
後は気が向いたときに分解掃除してます。
まずマグネットカバー。水滴がついてるのが分かるでしょうか。毎日使用後にカバーを外すと大体こんな感じです。でも毎日やるのは面倒なので、気が向いたときだけ外して拭き取ってます。
で、サウンドプロセッサ本体のほうですが、まずメンテナンス用にこんなものが付属しています。
上の方のやつはマイナスのドライバとピンを外すためのものですね。透明のイヤフックを繋げているのがピンなんですがこれを抜くのに使います。外すとこんな感じになります。
この部分も割と汗で湿っていることが多いので、拭き取って元に戻して終了です。
こんな感じのメンテナンスで、この1年間汗などが原因とみられる故障を経験していないので、一応問題ないのかなと思います。
髪型
2週間ほど前に髪の毛を切りに行きました。
美容室はこれまで10年以上行きつけだったところの美容師さんが上京するというので、新しいところを紹介してもらいまして、そこに通っています。予め人工内耳を外したら何も聞こえませんのでって話をした上で、切る前に大まかなところの話をしてしまいまして、切っている間はほぼずっと外したままです。もし、美容師さんの方が何か聞きたいことがあれば、その都度人工内耳をつけて話をするという感じて対応してもらっています。
で、私は人工内耳を目立たせないようにしたいので、色々工夫をしてまして、今の髪型はこんな感じになってます。
黒髪なもので分かりづらいと思うんですが、実はこれ中をツーブロックにしてまして、磁石が着く辺りまでを緩めに刈り上げてもらってます。その上に少し長めの髪の毛をかぶせているので磁石は全く見えないようになってます。
こういう髪型にしてから会う人に人工内耳のことを聞かれたことは一度もないので、当初の目的は達成できているかと思います。
しかし、こうしてみるとメドエルのサウンドプロセッサは小さいですね。厚みも重みもないので長時間装着していても全く違和感も痛みもないのでやはり私はメドエルで良かったかなと思ってます。
診察とマッピング(左:5回目)
木曜日に主治医の診察、金曜日にマッピングというかリハビリというか検査をそれぞれ受けてきました。
診察
朝一で予約してあったのにもかかわらず、呼ばれたのは予約時間の1時間後でした。これまではそんなに待たされなかったので、呼び出しのアナウンスを聞き逃していたりしてないかなと若干不安になりましたが、実際にはそんなことはなく単に混んでいただけのようです。
診察自体は、これまでで何か気になるところがあればそれに対応するということのようで、私は髪の毛を洗うときに、手術跡の周りにかなりのかゆみを感じているので、ちょっと見てもらいましたが特に問題はないようです。
ということで次回も3ヵ月後で予約して終了。おそらくその次からは半年ごととか1年ごととかになりそうな気がします。ただ、何が起こるかは分からないので、1年ごとになるとしても通院自体は継続する必要があるみたいですね。
1年後の予約なんて覚えていられるのかなあ(苦笑)。
マッピング(左:5回目)
人工内耳のリハビリは、機器調整としてマッピングがメインになるということで、これまでマッピングと題して書いてきたんですが、最近は全然調整してもらっていません。
いや、もちろん、私の方から聞こえてくる音に不満なり要望なりがあれば、それに対応してくれるのは間違いないんですが、最近そういう話をあまりしていません。左耳の低音が籠もった感じになっているのが現在気になっているんですが、これも調整してくれないと困るというレベルの話ではないのでそのまま放置しています。
検査内容
ということで、今回は両耳に人工内耳を装着した状態で検査をやりました。検査内容は以下の通り。
- 語音識別検査(1音)
- 語音識別検査(2音)
- 単語検査(静寂下・騒音下)
- 文章検査(静寂下・騒音下)
検査結果
- 語音識別検査は2音だと5割ぐらい。1音だと7割ぐらい。
とにかくこれは苦手です。聞いていて全く分からないのが分かるというぐらい苦手です。全部母音の方に引きずられてしまうので、何言っているのかさっぱりです。こういうのは訓練次第で何とかなるんでしょうかねえ。
- 単語検査、文章検査はいずれもかなりの好成績
単語検査、文章検査とも静寂下ではほぼ完璧に、騒音下でも8割以上聞き取れていたようです。毎回同じCDを使っているからいい加減暗記してしまったのではないか、と自分自身に対して疑念を持ちましたが、いま検査で何を言ったか思い出そうとしても思い出せないので、やはりちゃんと聞き取っていたようです。
今回騒音下の検査の際に感じたのは、騒音は確かに騒音として聞こえてくるんですが、検査用の単語や文章は騒音と同化することなく、くっきりと言葉として浮かび上がってきているなということでした。騒音が後ろに行って言葉が前に出てきているような感じでしょうか。実際のところ、騒音下での会話もある程度できるようになってきているので、もしかすると、人工内耳でもカクテルパーティ効果を感じることは可能なのかもしれませんね。
リハビリ終了?
STの先生から、これぐらい聞き取れていれば日常生活で困ることはそんなにないだろうし、訓練という形で何かをやる必要もほとんどないので、定期的な通院は終了ということにして、あとは診察の際とか気になることがあればその都度来てもらうとかいう形でもいいですよといわれたんですが、その都度予約を取るのも面倒なので、ひとまず2ヵ月後に予約を入れておきました。
完璧を目指すなら語音識別検査の成績向上を狙って何かしら訓練をすべきなんでしょうが、日本語のリハビリとしてはもう十分なレベルに来ていると思うので、次は外国語のヒアリング能力の向上を目指す方向で行きたいなと思います。
光ビームが聴覚障害者(スナネズミ)を聞こえるようにする?
たまたま目についたので訳してみました。例によって適当訳なので内容の保証はしませんが、訳していても何のことだかよく分からない部分が多いので、専門家でないと分からないレベルの話だと思います。ちなみに、副題は「次世代人工内耳インプラントは、聴覚障害者が音楽を聴き、ノイズに対処することを可能にするかもしれない」となっています。
原文はこちらになります。筆者はシモン・メイキン(Simon Makin)さんというサイエンスライターの方です。
重度の難聴を抱える世界中の50万人の人々は、耳にインプラントを装着することで、言葉を理解することが可能になっています。人工内耳として知られているこのインプラントは、神経科学による最も成功した技術の1つですが、聴力障害に対する部分的な矯正しか提供できません。人工内耳は、人々にモーツァルトの交響曲を楽しませることができる、あるいは地元のクラブでの外部の喧騒の中で友人のゴシップのやりとりができるようなバイオニック機器ではありません。ドイツのゲッティンゲン大学の聴覚神経科学者トビアス・モーゼー(Tobias Moser)教授は、「レストランのような場所で、人工内耳装着者が会話を理解することは非常に難しいです」と語っている。「また、彼らはメロディーを認識できないことに苦しんでいます」。
人工内耳は、言葉の周波数を知覚するために最大で22チャンネルを持っています。モーゼー教授による新しい研究は、内耳の聴覚神経を正確に刺激するために光を使用することで、これらの制約を乗り越えられる可能性があります。モーゼー教授は、このアプローチが将来的に現行世代の人工内耳を改善し、聴覚障害者の騒音下での会話が理解できるようになることを望んでいます。
蝸牛は、音の周波数を分析する内耳にある渦巻き型の構造体です。そこを通ると話されている言葉に見られる多様な周波数に反応して、異なる場所で振動する膜があります。振動は近くの有毛細胞を活性化し、次に聴覚神経を刺激し、聴覚神経の上の周波数情報を脳に送ります。
感音性難聴は、有毛細胞の損失を伴っているため、人工内耳は、聴覚神経を直接電極で刺激することによってこのダメージを迂回するためのものです。しかし、電極からの電流は、電極から聴覚神経へと直接的な移動をしません。このため、小さなギャップを交差するときに拡散しやすくなり、隣接する電極が近すぎる位置にあると「クロストーク(混線)」の原因となります。その結果、人工内耳は、その設計において、このような干渉を避けるために電極の数が制限されており、また識別することのできる周波数の幅も制限されています。
最近、Science Translational Medicineに掲載された新しい研究では、電気を光で置き換える光遺伝学(optogenetics)という技術を使用しています。ハーバード・メディカル・スクールの耳造専門医ダニエル・リー(Daniel Lee)准教授(彼はこの研究には関わっていません)は、「人工内耳の平均的性能は過去10年間で向上してきたので、皆その次の段階について研究しています」と述べます。「光遺伝学は合理的な解決策です。なぜなら、[光]に焦点を当て、電気刺激ではできないような方法でこれをを集中させることができるからです」。光遺伝学は、動物研究で広く使われている研究手法であり、光感受性タンパク質(チャネルロドプシンまたはオプシン)を産生する遺伝子を神経に導入して、光で活性化することを可能にするものです。
モーゼー教授のグループは、出生からオプシンを発現するように設計されたげっ歯類を用いた研究を2014年に発表した。新しい研究では、ヒトが知覚する低周波を聞くことができるスナネズミを使用しています。研究者による遺伝子操作は成人のネズミであり、より高速なオプシン(アクチベーションの間に迅速に回復するもの)を使用して、音にある正確なタイミング情報を再現するシステム能力を向上させました。彼らは、モーゼー教授のグループは、出生からオプシンを発現するように設計されたげっ歯類を用いて、2014年に研究を発表した。新しい研究では、人間が知覚する低周波を聞くことができるスナネズミを使用しました。研究者の遺伝子操作は成人であり、より高速なオプシン(アクチベーションの間に迅速に回復するもの)を使用して、システム内の正確なタイミング情報を音に再現する能力を向上させました。彼らはオプシン遺伝子を聴覚ニューロンに運ぶウイルスをスナネズミの蝸牛に注射しました。その後、光ファイバーを使用して、正円窓(中耳と内耳の間の小さな開口部)の穴を通じて蝸牛に光を照射しました。その結果、スナネズミの聴覚脳幹に、音で誘発されたものと類似した反応が得られ、また数週間にわたって安定している状態でした。
システムをテストするために、研究チームはアラームを聞いたら障壁を飛ぶことでショックを避けるようスナネズミを訓練しました。彼らはまず、正常な聴覚の動物に光を使用した訓練を行い、光刺激が行動に影響を与えていることを示しました。その後、彼らは、光を使って訓練された動物は、音に反応して飛び跳ねたことを示しました。 モーゼー教授曰く「これはまったく同じだとは言えませんが、十分に似ていました」。最後に、彼らは化学物質でスナネズミの耳を聞こえなくし、もはや音に反応できない状態でも、音の代わりに光の刺激を利用することを学習し、ろう動物にいくつかの聴覚機能が回復していることを示しました。「これらは印象的な結果であり、ろう者の聴覚系に活動を回復させる信頼できる新しい手段を示しています」と、カリフォルニア大学アーバイン校の神経科学者ジョン・ミドルブルックス(John Middlebrooks)教授(彼はこの研究には関わっていません)は述べています。「相当な将来の研究努力があれば、人工内耳で達成されてきたことを越えて、さらに先に進められる可能性があります」。
この研究では、単一の光チャンネルのみを使用していたため、周波数分解能を測定できませんでした。次の重要な段階は、複数チャンネルの機器を開発することです。機器設計の選択肢には、光ファイバーから光を導くことを可能とするマイクロLEDアレイや「ウェーブガイド」技術があります。光ファイバーは多くの電力を消費し、扱いにくいサイズの機器へとつながります。 「LEDは優れているが、調光があるので、技術的な課題がある」とリー准教授は語っています。「より低い閾値を有するより多くのオプシンが利用可能になれば、状況は改善されると思います」。
このアプローチを人間に使用する前には、他のハードルも残っています。ウイルスで誘発された遺伝子操作は一般に人間にはまだ行われていませんが、挿入遺伝子はその意図された場所にとどまることから、耳(および目)は、いずれも免疫系により厳重に防御されておらず、解剖学的に分離されているため、これらの手法の良い候補となり得ます。これらの研究は、蝸牛が独立しており(骨の殻にカプセル化されているため)、アクセスが困難であるというそれ自身の課題を抱えています。研究チームは、遺伝子操作されたネズミのうち光に反応したのは半数以下であり、タンパク質を取り込んだ神経の3分の1未満であり、おそらく注射による損傷のために約4分の1の神経が失われたことを明らかにしています。明るい話題としては、蝸牛螺旋に沿った神経が、オプシンタンパク質を産生する遺伝子を発現させたことがあります。研究チームは、聴覚神経以外の細胞が遺伝子を取り込んだことを検出していません。研究者らは今年、私たちにとってより免疫系が似ている非ヒト霊長類で実験を開始し、装置間の性能を比較するのに有用な音声を使用する予定です。「これを医療機器に変換するのが快適であるかどうかは、おそらく約2年でわかります」とモーゼー教授は言います。「これまでのところはかなり見栄えが良いけれども、道のりはまだまだ遠いですね」。教授は、この技術の商業化のためにOptoGenTechという会社を立ち上げる予定です。
感想
この光を用いた人工内耳の研究はまだまだこれからのようですが、現行の人工内耳の電極がおそらくはこれ以上は増やせない理由が何となく分かったのは有益でした。遺伝子操作を伴うってなんだかちょっと怖いんですが、より滑らかかつ広範に音が入るようになるのであれば、研究する価値は十分にあると思いますし、iPS細胞による内耳の再生よりは可能性が高いのかなという気もします。
実用化されたら試してみたいですが、その頃には私はすでにおじいちゃんなんでしょうねえ…(苦笑)。